要約
Digital Camera Worldの2025年ワーストカメラ。2025年にも“買う理由が見つからない”カメラは存在した。レンズ固定式に偏った今年の問題児たちを、公平かつ容赦なく総点検。見た目優先で中身が伴わない機種、名機の名を借りた失望作、実用より話題性だけが先行した一台まで、具体例と代替案を交え辛口で総括する。
Sorry not sorry – these were the WORST cameras of 2025 | Digital Camera World
https://www.digitalcameraworld.com/cameras/sorry-not-sorry-these-were-the-worst-cameras-of-2025●
Digital Camera Worldに、Digital Camera Worldが選出した2025年ワーストカメラが掲載されています。
- 悪いけど言わせてもらう──これが2025年のワーストカメラたちである
- 来年、これらのカメラメーカーからクリスマスカードが届くことはなさそうである。
- ケ・セラ・セラ……これが我々の「今年いちばん好きになれなかったカメラ」リストである。
- 誰かに「どのカメラを買うべきか」と相談されるたびに、自分はよく「最近は本当に“ハズレ”のカメラなんて存在しない」と言ってきた。
- しかし、その発言は撤回した方がよいのかもしれない。
- 今年チームが選んだ何台かを見ていると、その言葉がまったくの的外れに聞こえてしまうからである。
- とはいえ、このリストに挙がっているカメラはすべてレンズ一体型機である。
- おそらく、こう言い換えるべきかもしれない。
- 「交換レンズ式ミラーレスに“本当に悪いカメラ”はない。
- しかし、レンズ固定式カメラを買うときは、細部まで注意して選んだ方がいい」と。
- というわけで、2025年に我々を泣かせた“問題児カメラ”たちを紹介する。
YASHICA FX-D 300
- ヤシカのコンパクトカメラ群には、シンプルなポイント&シュートとしての欲求を満たしてくれるという点で一定の評価をする余地がある。
- しかしこのブランドは、「フィルムっぽさ」をうたうデジタルカメラに関して、かなり怪しい実績を積み上げてきた。
- いまだに「Yashica Y35」の悪い記憶が口の中に残っているが、それでも自分は「FX-D 300」にはフェアに向き合おうとした。
- 見た目だけ見れば、やっていることは悪くないように思える。
- 往年のヤシカFXフィルム機を模したデザインは非常に美しく、ラチェット式の巻き上げレバー(「Fujifilm X-Half」の頼りないレバーとは違う)、実在のヤシカフィルムをベースにしたフィルムシミュレーション、24-60mmズームレンズ、そして「50MP解像度」をうたっている。
- しかし、よくよく中身を見ていくと、すべてが崩れ落ちる。
- 見た目こそクラシカルだが、実態は完全なプラスチック玩具カメラであり、「レザー調」グリップに至るまで偽物感が漂う。
- 1/1.56インチという極小センサーは、フィルムシミュレーションを「本物のフィルムライク」には見せてくれず、子ども用トイカメラのフィルターのような安っぽい印象にしてしまう。
- しかも、それらのシミュレーションはファイルを一気に12MPまで落としてしまう。
- 同様に、レンズに立派なズームリングが彫られているにもかかわらず、実際のズームはすべてデジタルクロップで実現されている。
- つまり、「50MP」を得られるのは24mm相当時のみで、35mmでは「24MP」、50mmでは「12MP」、60mmでは「8MP」に落ちるという仕組みである。
- なぜ「」付きで書くのかと言えば、このカメラから出てくる「50MPファイル」を一目見ただけで、強烈な補間処理が行われているのが丸わかりだからである。
- 正直なところ、16MP時代の古いミラーレスカメラを買って、その画像をPhotoshopで拡大した方が、まだましな結果になるだろう。
- 実際、ヤシカ「FX-D 300」に450ドル/335ポンドも払うくらいなら、中古のオリンパス「OM-D E-M5」(16MP機)とレンズをMPBで買うことを強く勧める。
- そちらの方がビルドクオリティも画質も、あらゆる面で優れている。
- あるいは、いっそ本物のヤシカ「FX」フィルムカメラをeBayで買えばよい。
KODAK CHARMERA
- 今年、自分を一番首をかしげさせたカメラがあるとすれば、それはコダック「Charmera」である。
- 2025年に発売されたカメラの中で、これほど解像度の低い機種は他に思い当たらない。
- 「Fujifilm GFX100RF」のような102MPコンパクトカメラが話題と賞をさらっていた年に、1.6MPカメラが注目を集めるとは、誰が想像しただろうか。
- 技術的に見れば、今年もっとも低解像度なカメラである。
- しかし、まさにその制限こそが、このカメラに独特の魅力を与えている。
- 短い期間で、この小さなコンパクトが非常に高い人気を獲得していることは、我々全員が目の当たりにしてきた。
- 柔らかくレトロな描写は紛れもなく「Charmera」らしさに満ちており、低解像度の画像は遊び心にあふれ、ノスタルジックで、どこか祝祭的ですらある。
- 本来なら欠点であるはずの仕様が、結果的にはアイデンティティになっているのである。
- その魅力には、もちろんストレスも付きまとう。
- 「Charmera」はとにかく入手が難しい。
- 在庫は、まるでインスタント写真のように一瞬で消え去る。
- プロ用途を想定した場合、画質面では「最悪」と言ってよい。
- しかし、写真を深刻に考えず、ただ撮ること自体を楽しみたい人にとっては、奇妙なほどに「完璧」な存在である。
- もし手に入れられるのであれば、の話だが。
- 愛すべき頭痛の種……スペック上は「悪い」カメラなのに、実際には妙に優れている、そんな存在である。
キヤノン「Elph 360 HS A(IXY 650 m)」
- カメラもひとつ選べと言われれば……そうだな。
- キヤノン「Elph 360 HS A/Ixus 285 HS A」を挙げよう。
- 誤解してほしくないのは、価格を考えれば“ひどい”カメラではないという点である。
- 我々も4つ星評価を与えている。
- しかし、「アップデート」として見ると、これはかなりひどい。
- Aなしの従来モデルとの違いは、記録メディアがSDカードからmicroSDに変わったことと、Wi-Fi規格が最新仕様に更新されたことくらいである。
- そして、この「小型カード」は正直かなり扱いづらい。
- Wi-Fiの更新も、ポータブルプリンターへの直接接続といった、コンデジの魅力のひとつを失わせている。
- とはいえ、2016年モデルから見てアップデートが「ないに等しい」のは非常に残念ではあるものの、キヤノンのコンパクト機は入手性が悪くなっており、この“ほぼ中身据え置き”の新型も、すでにかなり売れているようである。
ニコン「Coolpix P1100」
- 今年のワーストカメラにニコン「Coolpix P1100」を選ぶのは、少し心苦しくもある。
- というのも、その前身であるニコン「Coolpix P1000」は、自分にとっては「罪深いほど好きな」 guilty pleasure 的存在だからである。
- しかし、この2代目は、正直なところ「マイナーチェンジ」と呼ぶことさえためらわれるレベルである。
- EU規制に対応し、充電端子をUSB-Cに変更するためだけに存在するようなカメラ、と言っても大げさではない。
- そこにML-L7リモコン対応やモードの追加が、申し訳程度に上乗せされているだけである。
- ブリッジカメラ市場が現代ではほぼ消滅していることは理解している。
- それでも「P1000」は、今やある種のカルトクラシック的な立ち位置にある機種だ。
- だからこそ、自分としてはこの「ぶっ飛んだコンセプト」のシリーズに、きちんとしたアップグレードが近い将来もう一度与えられることを、心から願っている。
- では、P1100は買うべきではないのか、と言われれば、必ずしもそうとは言えない。
- 長いレンズに大金を払うつもりはなく、1/2.3インチ16MPセンサーでも問題なく、とにかく野鳥や月、スポーツなどを「そこそこ気軽に撮れればいい」という一台完結型カメラを求めているのであれば、依然として非常に良い選択肢である。
- また、「写真家である前に野生動物愛好家」という人たちにとって、現時点で最良のカメラだとも言える。
- 本格的なフォトグラファーではなく、熱心なバーダーや、一生に一度のサファリ旅行の記録を残したい人にとって、P1100は価格とシンプルさの面で他に代わりのない存在である。
富士フイルム「X Half」
- ここ数年、コンデジ人気が再燃している現象には、いまだに少し困惑している。
- レンズ固定、小さなセンサー、そして我々全員がポケットに入れているスマートフォンに性能面で劣ることの多い“時代遅れの遺物”が、なぜここまで持て囃されるのか。
- この件については、「コンパクトカメラへの過剰な fascination とは何か」という記事で、思うところをかなり率直に書いた。
- 個人的には、こうした「後ろ向きのデバイス」は歴史のゴミ箱に放り込まれていて然るべきだと考えている。
- しかし、その中でも、とくに自分の神経を逆なでする一台がある。
- それが「Fujifilm X Half」である。
- このカメラは、レトロ志向を一歩行き過ぎたところまで押し進め、「フィルム時代の面倒くささ」をデジタル時代に持ち込み、そのうえで高額な値札をぶら下げている。
- しかも、それがシミュレートしているのは、フィルム時代のなかでもとりわけ“残念なエピソード”であるハーフサイズカメラなのだ。
- 当時は、まずフィルムを購入するのにお金がかかり、さらに現像にもまたお金がかかった。
- だから1枚1枚のシャッターは、文字通り「コスト」がかかる行為だった。
- そこで、もっとも倹約志向の写真家向けに登場したのがハーフサイズカメラである。
- その名のとおり、1コマのフィルムの半分だけを使って撮影するため、24枚撮りは48枚に、36枚撮りは72枚の撮影が可能になった。
- その代わり、写真は物理的に半分のサイズになり、かつ構図の向きも変わる。
- 通常の横位置でカメラを構えても、撮れる写真は縦位置になるのである。
- 「X Half」はこれを再現しているが、もちろん実際にセンサーの半分だけを読んでいるわけではない。
- 実態としては、凡庸な17.7MP・4:3比センサーをわざわざ“横倒し”に搭載し、3:4の縦位置写真を出力しているだけである。
- 横位置の写真を撮りたいなら、カメラを縦に構えなければならない。
- 正気の沙汰とは思えない。
- そして、これで終わりではない。
- ファインダーは、ごく単純な光学式で、撮ろうとしているものをざっくり示しているにすぎない。
- 「フィルム」の設定上、36枚/24枚/72枚の“ロール”を撮り終えるまで画像を確認することはできず、一度選んだフィルムシミュレーションは、そのロールが終わるまで変更できない。
- 「楽しむためのおふざけカメラ」であり、あまり真面目に捉えるべきではない機種なのは理解している。
- もしこれが、遊び心にふさわしい価格で売られているのであれば、自分もここまで強くは批判しなかったかもしれない。
- しかし、発売時の価格は849ドル/699ポンド/1,349豪ドルという目の玉が飛び出るような設定だった。
- 「いったい何様のつもりだ?」と言いたくもなる。
- とはいえ、最近は価格もいくらか落ち着いてきた。
- フィルム時代で最悪レベルの面倒くささを、もう少し受け入れやすい値段で追体験したいのであれば、どうぞご自由に、というところである。
シグマ「BF」
- 2025年のワーストカメラとしてシグマ「BF」を選ぶことには、少し後ろめたさも感じている。
- 自分はカメラデザインの革新性を強く信じているからである。
- 40年にわたってレビューを続けていると、新しいカメラが、前のモデルと見た目も操作もほとんど同じであることに、さすがに飽きてくるからだ。
- しかし、自分にとって「シグマ BF」は、機能よりも形を優先してしまった典型例である。
- 削り出しアルミブロックから成形されたミニマルで未来的なデザインは、このフルサイズミラーレスカメラに確かに魅力と視線を集める美しさを与えている。
- だが、「実際に使いたいカメラか?」と問われれば、答えはノーである。
- 手に持ったときの感触はしっくり来ず、小さなLマウントレンズ以外はまともにバランスが取れない。
- それでいてEVFもなく、チルト式のモニターもない。
- 自分がカメラに求める「撮ることの喜び」を、ほとんど満たしてくれないのである。
- シグマには、これまでも「変わったカメラ」を作ってきた長い歴史がある。
- しかし、このモデルは「実用的なカメラ」というより、むしろ「オブジェ」に近い。
- 自分としては、前世代のシグマミラーレス、すなわち「fp」と「fp L」の方がはるかに好みである。
- あちらは、無駄な気取りのないシンプルさで、実用品としての道具らしさがあった。
- それに対して「BF」は、削ぎ落とされた美しさを優先した結果、「創造のためのツール」というよりも「眺めるための彫刻」に近づいてしまったと感じる。
とのこと
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