要約
富士フイルムのX100シリーズ、ニコン「Zf」、そしてキヤノンのレトロ機構想――いまカメラ市場は“体験重視”の潮流が強まっています。にもかかわらず、ミノルタのデザイン遺産と絞りリング付きレンズ群を持つソニーは、この波に本気で乗っていません。なぜソニーはレトロボディを出さないのか。ブランドの一貫性とアイデンティティから、その沈黙を読み解きます。
Will Sony Ever Make a Retro Camera? | Fstoppers
https://fstoppers.com/gear/will-sony-ever-make-retro-camera-721006
Fstoppersに、ソニーのレトロスタイルなカメラの考察が掲載されています。
- 富士フイルムがレトロ路線で支持を広げ、ニコンはフルサイズの「Zf」でそれがヒットし得ると示した。キヤノンも「AE-1」へのトリビュート機を検討しているという噂がある一方で、現代ミラーレスを定義したメーカーのソニーは沈黙したままである。
- 販売ランキングや「X100VI」の品薄、「Zf」の好調といった需要データは十分に見えているはずだが、それでもソニーは真のレトロボディを出していない。
- ソニーは2006年にコニカミノルタのカメラ部門を買収し、Aマウントや技術者、特許だけでなく、ミノルタXD-11やX-700のような“レトロの原典”とも言えるデザイン遺産も引き継いだ。
- にもかかわらず、そのヘリテージを前面に押し出す動きはほとんど見えない。
- ニコンが「FM2」を掘り起こし、キヤノンが「AE-1」に視線を向ける中で、ソニーは手札を持ちながら切っていないように映る。
- もちろん、ソニーにもクラシックへの目配せはある。
- 「α7C」ラインは、EVFを隅へ寄せたレンジファインダー風の輪郭、小型軽量化、シルバーモデルの用意など、従来の“黒いレンガ”から外れた設計判断を積み重ねてきた。
- ただし、これはあくまで「小さくてスタイリッシュ」な方向であり、レトロカメラが象徴する体験――シャッタースピードやISOの専用ダイヤル、クリック感のある操作、触覚的フィードバック――まで踏み込んだものではない。
- 操作は依然としてメニュー中心で、ファンクションボタンとコマンドダイヤルに依存する。結果として、見た目は変わっても使い心地はソニー流の延長線上に留まっている。
- 一方で、ソニーにはレトロボディを支えるレンズ側の土台もある。
- 近年のG Master単焦点や一部のGMズームにはデクリック可能な絞りリングが備わり、コンパクトなG単焦点にも絞りリングが付く。
- レトロな見た目と触覚的な操作を“レンズ側”から補える状態に近い。
- それでも、そこに見合うボディが出てこない。この不在が、さらに不思議さを増している。
- 結局、鍵になるのはブランドの軸である。
- ソニーは「α7」でフルサイズミラーレスの潮流を作り、「α9 III」でグローバルシャッターのような先端技術を押し出してきた。
- AI駆動AFや動画機能も含め、語る物語は一貫して未来志向である。
- レトロカメラは、過去の価値や古いアプローチの魅力を積極的に認める製品になりやすく、その姿勢がソニーの自己像と噛み合いにくいのかもしれない。
- もし参入するなら、ミノルタ名義の復活、あるいはαシステム内に体験重視のサブラインを新設する案が考えられる。
- センサーやAFを流用できても、機械ダイヤルや新しいエルゴノミクス、防塵防滴など実開発は必要だが、技術も資金も量産力も揃っている。
- 足りないのは「作る」という意思に見える。現状、
- 幹部発言や展示会でヘリテージを匂わせる動きは少なく、噂筋からの継続的なシグナルも乏しい。
- ソニーのフルサイズ・レトロ機を待つ側は、過度に期待せず、静観するのが現実的だろう。
とのこと
ミノルタの軌跡 (アサヒオリジナル アサヒカメラニューフェイス診断室)
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