要約
CP+ 2026でPhototrendはシグマCEO山木和人氏にインタビューした。新「35mm F1.4 DG II | Art」や開発中「85mm F1.2 DG | Art」の狙いに加え、「300-600mm F4」や「200mm F2」の想定外需要、市場の二極化、APS-C戦略、AI活用の距離感、そして話題の“米作り”まで踏み込んで語っている。
Interview Sigma CP+ 2026 : « C'est l'accumulation d'expérience qui rend le produit si différent »
https://phototrend.fr/2026/03/interview-sigma-cpplus-2026-kazuto-yamaki/
Phototrendが、CP+2026でのシグマ山木社長へのインタビュー記事を掲載しています。
- CP+ 2026が横浜で閉幕し、PhototrendはシグマのCEOである山木和人氏にインタビューした。
- 2025年にシグマは8本のレンズと1台のカメラを投入し、通常はキヤノンやニコン、ソニーのような大手に結び付けられがちなハイペースを示した。
開発体制と組織:採用ペースと定着率
- 山木氏によれば、近年エンジニア数を大きく増やしたわけではなく、毎年数名ずつ定常的に採用している程度だという。
- 同社は社員の定着率が高く、エンジニアに限らず工場作業員や営業も含め、離職は1%未満と説明した。
市場環境の変化:一眼レフ用レンズ需要の落ち込みが転機に
- 2022〜2023年に一眼レフ用レンズの需要が大きく落ち込み、この業界で生き残るには革新的で魅力ある製品が必要だと痛感し、議論を重ねた結果が現在の動きにつながっているとした。
「BF」の評価:否定的懸念から好意的反応へ
- 前年のCP+では「Sigma BF」発表前に否定的反応が4割程度あると懸念していたが、1年後の評価は概ね非常に好意的だという。
- 操作体系が他社と異なるため戸惑う人もいるが、慣れるとUIを評価し、撮影スタイルが変わったという声もあったと述べた。
- 一方でEVFやボディ内手ブレ補正がないなどの指摘はあり、課題がゼロではない。
- ただし販売面では受注残が生産能力を上回り、当初からフル稼働で出荷を続けても需要に追いついていないと語った。
望遠ズームの反響:「300-600mm F4 DG OS | Sports」が想定超え
- 望遠ズーム「300-600mm F4 DG OS | Sports」については、市場からの反応が非常に良く、とりわけモータースポーツ分野のフォトグラファーが現場での“武器”として評価しているという。
- 想定より注文が多く、当初は需要が小さいと見て生産能力を抑えていたが、反応を受けて増産し、それでも足りず、さらに1週間で再増産するほど驚いたと振り返った。
特殊レンズ/APS-Cレンズの受注:「200mm F2」「17-40mm F1.8」も好調
- 同様に、特殊性が高いはずの「200mm F2 DG OS | Sports」も予想を超える受注だった。
- APS-C向け「17-40mm F1.8 DC | Art」も大幅に予測を上回り、現在もバックオーダーを消化しきれていないという。
売れ行きの二極化とSNS要因
- 近年は人気製品が爆発的に売れる一方で、そうでない製品は動きが鈍く、差が拡大していると分析し、その要因としてSNSの影響もあり得ると示唆した。
Lマウントアライアンス:選択肢拡大と互換性重視
- Lマウントアライアンスについては、選択肢が増えるほどユーザーに有利でシステムは強くなるという基本姿勢を示した。
- ただし新規参入には互換性確保が不可欠であり、カメラとレンズの組み合わせで問題が起きないよう慎重であるべきだと強調した。
キヤノンRF向けフルサイズAFレンズ:前年同様コメントなし
- また、キヤノンRFへのフルサイズAFレンズ展開の可能性を改めて問われたが、前年同様にコメントできないと回答した。
開発発表「85mm F1.2 DG | Art」:F1.2と“現実的”サイズの両立
- 開発発表された「85mm F1.2 DG | Art」については、F1.2で高い光学性能を確保しつつ、サイズと重量を“現実的”にまとめるのが難しいと説明した。
- 一方で同社が保有する複数の技術により、「35mm」「50mm」「85mm」などのF1.2級でも、性能と扱いやすさを両立し得ると述べた。
明るいレンズの裾野:若い世代にとっての価値
- 近年、キヤノンやニコンが比較的手頃で小型のF1.2やF1.4を出している点については、意図は分からないとしつつ、若い世代が限られた予算でも明るいレンズを楽しめるのは魅力的だと前向きに評価した。
新興勢(Viltrox等)への見方:アナログ機器としての差
- Viltroxのような新興勢の伸長には敬意を示し、意思決定の速さは学ぶべきだとしながらも、レンズは本質的にアナログ機器であり、デジタル技術ではコピーや移転が比較的容易だが、アナログデバイスの場合、経験の蓄積と小さな改良の積み重ねが性能差を生むと述べ、製品価値には依然大きな差があると語った。
AI活用:部分利用の可能性と企業固有ノウハウ
- AIの活用については、一定水準の製品を作る目的なら部分的に使える可能性があるとしつつ、最高品質を狙う知識・技術・ノウハウは企業固有で、クラウドやLLMに転がっているものではないという見解を示した。
- 社内の独自知見を前提にAIを使う可能性は議論中だが、現時点ではエンジニアが本社に毎日出社し、対面で知見共有するチームワークと、会津工場との密な連携で“伝統的”に開発できており、今すぐAIが必須ではないとした。
「35mm F1.4 DG II | Art」:刷新理由と第2世代化の基準
- 「35mm F1.4」の第2世代「35mm F1.4 DG II | Art」については、初代がArtラインの出発点で大成功した重要な存在。
- 当時は使えなかったHLAリニアモーターや特殊な非球面ガラスなど、現在の技術が性能向上を可能にしたため刷新を決めたと説明した。
- 第2世代化の方針は、既存製品より明確に優れたものを作れる確信がある場合に限り、差が小さいなら作らないという基準で選ぶという。
APS-Cの位置づけ:価格上昇時代の潜在力とLマウントの事情
- APS-Cについては、市場が今後伸びるかは不明だがユーザー数は多く、画質・性能・価格のバランスが良い点を評価した。
- APS-Cならレンズを大幅に小型化でき、たとえば「16-300mm」(35mm判換算で24-450mm相当)のような高倍率も現実的になると述べた。
- 製造コストや材料費、エネルギー、人件費の上昇で機材価格が上がる中、APS-Cはフルサイズより手頃で、将来の潜在力が大きいと見ている。
- 一方でAPS-CレンズのLマウント版を作らなくなった理由は需要が極端に低いからであり、LマウントAPS-C機が登場すれば再び供給したいと語った。
“米作り”の狙い:Sigma Aizu Farm Corporationと里山の維持
- 最後に話題となった“米作り”については、「Sigma Aizu Farm Corporation」を設立し、会津の伝統的景観である里山、特に水田を守るためだと説明した。
- 高齢化で水田が放棄されると、水の保持が失われて洪水や土砂災害のリスクが高まり、生態系にも影響し、害虫や山の動物の問題も起き得るという。
- 製造業として環境負荷を負う立場だからこそ「地球規模で考え、地域で行動する」という小さな実践をしたいという考えだ。
- 運用面では当初2〜3年は既存の農家と協力しつつ、将来的には工場従業員で農業経験を持つ人が60〜65歳で現場に移る選択肢を用意し、機械も含め既に資源があるとした。
- 本業への集中が薄れる懸念については、田んぼの維持はスタッフが担い、自身はほぼ100%本業に集中するため問題ないと締めくくった。
とのこと
SIGMA デジタルカメラ dp2Quattro 2,900万画素 FoveonX3ダイレクトイメージセンサー(APS-C)搭載 930257
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