要約
ミラーレス全盛のいま、なぜな一眼レフを使い続けるのか。その理由を、単なる性能比較では説明できない写真家がいる。ニコン「D850」は、Kim Simpson氏にとって高性能な一台であるだけでなく、学びや成長、家族の記録、そして写真家としての歩みそのものと結びついた特別な存在なのである。今回は、その手放せない理由が率直に語られている。
Why I'm Still Using My Nikon D850 in 2026 | Fstoppers
https://fstoppers.com/node/721640
Fstoppersに、スコットランド西部を拠点とする写真家Kim Simpson氏が、なぜいまもニコン「D850」を使い続けるのかの理由を語っています。
- Kim Simpson氏はこれまで何度となく、いつになったらデジタル一眼レフから移行するのかと聞かれてきたという。
- 周囲はそれを、技術的な判断、あるいは新しい流れについていけない消極性だと見なしがちだ。
- しかし筆者自身は、その理由はほとんど技術とは関係がないと語る。
- いまでも最も手に取るカメラがニコン「D850」であるのは、スペックの問題ではなく、自分の写真人生そのものと深く結びついているからである。
ニコン「D850」は、長年の延長線上にあった理想の一台
- ニコン「D850」が筆者の手元に来たのは2018年で、そのときの印象は“ずっと待ち続けていたカメラ”だったという。
- 長年使ってきたニコン「D800」から大きく進化しながらも、操作感には自然な連続性があり、新しい機材を使っているというより、これまでの自分の撮影実践が少し上の段階へ進んだように感じられたようだ。
- 安心感があり、直感的で、頼れる存在だったのである。
- 筆者が最初に所有したデジタル一眼レフは、2006年発売の富士フイルム「FinePix S5 Pro」である。
- 1234万画素のSuper CCDセンサーを搭載し、常用ISOは3200まで対応していたが、ノイズを考えるとISO1200を超えて使うことはあまりなかったという。
- Fマウントのおかげでニコンのレンズが使え、4GBのコンパクトフラッシュカードには100枚以上のRAWファイルを保存できた。
- フィルムよりは自由でありながら、いまほど無制限ではないその感覚が、初心者だった自分に撮る意識を与えてくれたと振り返っている。
デジタル一眼レフは、写真家としての歩みそのものを記録してきた
- 筆者にとってデジタル一眼レフは、単なる撮影機材ではない。
- 結婚式撮影のアシスタント時代、スタジオでストロボを学んだ頃、大学時代、そしてプロとして活動するようになってからも、常にそばにあった存在である。
- 現在のカメラのグリップを握ることは、そこへ至るまでに使ってきた歴代のカメラたちの系譜を同時に握ることでもある。
- ニコン「D850」は、数え切れない撮影、仕事、長い一日、そして静かな発見や内省の時間を共にしてきた相棒となった。
- さらに、娘の成長の過程も、ほとんどデジタル一眼レフで記録してきたという。
- 筆者が最も愛着を持つ写真の多くは、光学ファインダーを通して撮られたものである。
- そこには液晶越しではない、目の前の現実をそのまま見つめている感覚がある。
- OVFをのぞくとき、見ているのはデジタル化された像ではなく、その瞬間そのものだ。
- 自分の目に届く光は、被写体を照らしている光と同じであり、そのことが撮影行為をより確かなものにしてくれる。
- シャッターが切られたあとに初めて、その瞬間がデジタルへ変わる。
- その流れの“誠実さ”とのつながりが、いまも筆者にとって重要なのだという。
- 仕事の中心が画素数や完璧さの追求ではなく、共同作業や物語の構築にあるからこそ、その感覚はなおさら大切なのである。
ミラーレスに移らないのは、性能への不満ではない
- もちろんKim Simpson氏は、外から見ればミラーレス移行が自然な次の一歩に見えることも理解している。
- 実際、技術的にはその通りである。
- しかもKim Simpson氏はミラーレスをほとんど使ったことがないわけではない。
- 複数の機種を借り、さまざまなボディやレンズを試し、娘のために一台購入した経験まである。
- EVFが苦手だとか、バッテリー持ちが短いとか、自分に言い聞かせてきた理由は、実際には決定打にはならない。
- 数枚撮ればすぐに慣れ、予備バッテリーを持てば済む話だからである。
では、なぜ移行しないのか
- その答えは、完全に感情的なものだという。
- デジタル一眼レフから離れることは、まだ読み終えていない本の一章を閉じるような感覚に近い。
- ニコン「D850」やそれ以前のDSLRには、学び、成長、失敗、突破口、展示、深夜や早朝の撮影、そして自分の視覚表現が少しずつ形になっていく過程が詰まっている。
- それを脇へ置くことは、自分自身の一部を置いていくことにも似ている。
- そこには、次に進むことへの期待と同時に、静かな喪失感もあるのである。
未来は受け入れつつ、いまはまだこのカメラと歩む
- Kim Simpson氏は進歩を否定しているわけではない。
- 近い将来、アップグレードする可能性は十分あると認めている。
- 実際、パンデミック中にはニコン「Z 9」への移行をかなり真剣に考えたという。
- しかし発売後の供給問題もあり、最終的にはその予算でキッチンを改装した。
- 当時も合理的な判断だと感じたし、いま振り返っても同じ気持ちだという。
- なぜなら、ニコン「D850」はその時点でも必要なことをすべて高い水準でこなしており、新しいフラッグシップ機が登場したからといって、自分の仕事で突然できなくなることは何もなかったからである。
- Kim Simpson氏はいまの道具が、まだ生きていて、まだ自分にとって意味を持ち、自分の見方や作品の作り方とつながっていると感じている。
- 成長には不快さや不確実さが伴うことも分かっているし、実際に好きだった多くの仕事は、迷いや試行錯誤のなかから生まれてきた。
- だからデジタル一眼レフを使わなくなったとしても、自分の進化が止まるわけではない。
- ただ現時点では、未来を拒んでいるのではなく、ここまで連れてきてくれた道のりを尊重し、もう少しだけ味わっていたいのである。
- このカメラで撮った写真も、その経験も消えない。
- やがて移行するときが来ても、そこで得たものはそのまま次へ持っていける。
- それまでは、まだこのまま握り続けていてよいのだと、Kim Simpson氏は静かに語っている。
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