2025.11.21
要約
Photonstophotosが追加した「PowerShot V1」の解析結果が話題。1.4型センサーながらダイナミックレンジはキヤノンAPS-C機「R50」に肉薄し、G7X IIを大きく上回った。アクティブ冷却で高温時の劣化も小さく、1型のソニーZV-1より余裕がある印象。
Powershot V1 shows Impressive Dynamic Range Results - Canon Rumors
https://www.canonrumors.com/powershot-v1-shows-impressive-dynamic-range-results/
Canon Rumorsに、キヤノン「PowerShot V1」のダイナミックレンジ性能についての分析が掲載されています。
- Photonstophotosが、新しいカメラを解析データに追加したのだが、正直なところ、その結果には少し驚かされた。
- もし知らなかったなら、「V1」はマイクロフォーサーズよりわずかに大きなセンサーを搭載している。
- 自分は、「PowerShot V1」はピクセル密度が高く、レンズ一体型のコンパクトなカメラであることから、「キヤノン」自身のAPS-Cセンサーよりも悪い結果になるだろうと予想していたのだ。
- しかし明らかなのは、この新しいセンサーとそれを搭載したカメラが、画質という点で、キヤノンがこれまでに作ってきたコンパクトカメラの中で群を抜いて優れており、かつキヤノンのAPS-Cセンサーにかなり近い結果を叩き出しているということだ。
- これはかなり見事だと言っていい。
「PowerShot G7X Mark II」との比較
- キヤノンの最後のG7X系であるキヤノン 「PowerShot G7X Mark II」と比較すると、ダイナミックレンジが明確に改善されているのが分かる。
- インターネットのどこかでは、中古の「G7X Mark II」を1500ドルで売りつけようとしていた「G7X Mark II」リセラーが、今ごろ涙を流しているに違いない。
キヤノン 「R50」との比較
- 「PowerShot V1」は、キヤノン 「R50」などに搭載されているAPS-Cセンサーとほぼ同等の位置にいる。
- とはいえ、「R50」の方がわずかに「V1」よりも良好だ。
- これは画素密度が低いぶん、「R50」の方がピクセル効率に少し余裕があるためである。
- しかし実際の撮影では、0.5EVの差などまず分からないだろう。
- 一方で、はっきり見えてくるのはサイズの違いだ。
- また、注目すべき点として、「PowerShot V1」にはアクティブクーリングも搭載されている。
- センサー温度が上がるにつれ、カメラのダイナミックレンジは低下し、高感度ノイズは増加するが、「V1」は冷却機構のおかげで、この問題が「R50」のようなミラーレス交換レンズカメラよりも小さく抑えられるはずだ。
- そしてこれは、従来のキヤノン製PowerShotシリーズよりもはるかに有利なポイントである。
「ソニー ZV-1」との比較
- ここで「ソニー ZV-1」にもフェアであろうとするなら、あのカメラのセンサーは「PowerShot V1」に比べてかなり小さい。
- ZV-1は1型センサーであるのに対し、「V1」は1.4型センサーなのだ。
- とはいえ、ソニーにはより大きなマイクロフォーサーズセンサーをカメラに載せるという選択肢もあったはずであり、そうしない道を選んだのはソニー自身である。
- かつては、キヤノンは常に二番手的な立場にあり、より優れたカラーサイエンスとメニューシステムによって何とか競争力を維持している状態だった。
- しかし今や、状況は変わった。
- 「V1」は優れたダイナミックレンジを備えているだけでなく、カラーサイエンスもメニューも非常に良好だ。
- たしかに、この2台のダイナミックレンジの差を実写で体感することはないかもしれない。
- だが、少なくともコンパクトカメラの世界において、キヤノンが優位に立つ状況はかつてなかったのだ。
ノイズリダクションについて
- キヤノンはノイズのスムージングやリダクションを行っているからこそ、「V1」のグラフ上にあの三角形が現れているのだ、と主張する人もいるだろう。
- しかしながら、これは決して決定的に証明された話ではなく、むしろセンサーがデュアルピクセルであり、そのために画像パイプラインの中で何らかの画像処理が必要になっていることに起因している可能性もある。
- 意図的なノイズリダクションによってDR値を水増ししている、とは限らないということだ。
- エネルギースペクトルの「ディップ(落ち込み)」を見ると、「DPAF CMOS II」世代の他のキヤノンセンサーと似た傾向が見て取れる。
- むしろ中央付近のこのディップは、過去の「DPAF」センサー、たとえばキヤノン 「EOS R5」などに比べても小さいくらいだ。
- たとえばソニー「α7S Mark III」ですら、これとよく似た挙動を示している。
- そのため、位相差検出やクアッドピクセルの存在がエネルギースペクトル全体に影響を与えている可能性が高く、メーカーがセンサーデザインの出来の悪さを隠すために何かを仕込んでいる、という話ではないと考える方が自然だろう。
まとめの考察
- これは、「PowerShot V1」を買うかどうか迷っている人にとって朗報だ。
- そして、キヤノンが今や、国内生産のセンサーで、現在市場にある小型センサーの中でも最高クラスと競えるレベルに達していることを示している。
- キヤノンはセンサー開発で驚くべき進歩を遂げたのだ。
- 現時点の情報によれば、キヤノンジャパンはこのセンサーを「1.4型CMOSセンサー」としている。
- BSI-CMOSとはどこにも書かれておらず、BSIであると主張しているのは信頼性の低いサイトだけである。
- したがって、このセンサーは裏面照射ですらなく、それにもかかわらず、裏面照射型の近い世代のセンサーにほぼ匹敵する性能を発揮している可能性が高い。
- 少し脱線するが、これはまったく驚くべき話ではない。
- キヤノンは10年以上にわたって、非常に大きなリソグラフィ構造を用いたセンサーを磨き上げてきた。
- 180nmや120nmといった設計ルールを、血と汗と涙で徹底的に最適化してきたのである。
- そして、より微細な設計ルールが実用段階に入り、新しいセンサーラインが整ったとき、その蓄積されたノウハウや知的財産、経験を100nm以下のプロセスに落とし込んだ。
- その結果、他社の裏面照射型センサーよりも高効率なセンサーを生み出せるようになったのだ。
- だからこそ、もはや誰もダイナミックレンジを問題視しなくなり、話題はみな、私のお気に入りのテーマである「ミラーレスカメラ用サードパーティレンズ」と、もちろん、伝説の「R100」の方へ移ってしまったのである。
- この情報をコミュニティに届けてくれたBillには大いに感謝したい。
- そして近いうちに「R50 V」や「R6 Mark III」が結果に登場してくることを楽しみにしている。
とのこと
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