2025.12.15
要約
最新ミドルフルサイズ3機種――ソニー「α7 V」、キヤノン「EOS R6 Mark III」、ニコン「Z6III」のダイナミックレンジを検証。メカ/電子シャッターでの傾向差、センサー設計の違い(部分積層/表面照射など)を踏まえで整理。
Canon R6 Mark III Dynamic Range Officially Measured - Canon Rumors
https://www.canonrumors.com/canon-r6-mark-iii-dynamic-range-officially-measured/
Canon Rumorsに、「EOS R6 Mark III」と「α7 V」と「Z6III」のダイナミックレンジ比較が掲載されています。
機種名 測定PDR(メカシャッター) 測定PDR(電子シャッター) ニコン「Z6 III」 10.46 10.46 ソニー「α7 V」 12.47 10.99 キヤノン「EOS R6 Mark III」 11.63 10.5
- キヤノン「EOS R6 Mark III」、ソニー「α7 V」、ニコン「Z6II」のダイナミックレンジ比較。
- ソニー「α7 V」の登場により競合状況は変化した。
- ソニー「α7 V」は、キヤノンのシネマカメラで採用されてきたDGO(Dual Gain Output)と呼ばれる新しいセンサー設計を備えているからである。
- 実際にDGOを最初にセンサーとして採用したカメラは「ALEXA」であった。
- 本質的に何が起きているかというと、センサーが事実上「2回読み出し」されているということである。
- その仕組みがセンサー技術的にどう実現されているかは自分の理解を超えるが、電荷や画素値を保持するための追加メモリのようなものが必要なのだろうと思う。
- これには限界があるが、結果としては、異なる増幅レベルの信号を合成することでノイズを低減し、ダイナミックレンジを拡大する仕組みになっている。
- もちろん、ピクセルに到達する光が多すぎてセンサーのピクセルウェルがオーバーフローすると、クリッピングが発生し、これに対してできることは何もない。
- なぜここまでこの話をしているのか。
- 静止画カメラでこの仕組みを最初に利用したのはパナソニックであり、パナソニック「LUMIX S1 II」であったが、ソニーも追いつき、ソニー「α7 V」にこれを実装してきたように見えるからだ。
- PhotonsToPhotosによる測定でも、ソニー「α7 V」はメカシャッター使用時のダイナミックレンジが非常に優れており、メカシャッター動作においてキヤノン「EOS R6 Mark III」比で0.84段のダイナミックレンジ向上を示している。
- DGOは静止画とメカシャッターではうまく機能する一方で、現時点ではソニー「α7 V」の電子シャッターではこのモードが無効化されており、その結果、電子シャッターモードでのソニー「α7 V」とキヤノン「EOS R6 Mark III」の14ビット対12ビットという差はほぼ意味をなさない。
- というのも、電子シャッターで見た場合、ソニー「α7 V」はキヤノン「EOS R6 Mark III」に対して0.5段未満の改善にとどまっているからである。
- 現時点でソニーが電子シャッターでDGOを行えないのは、センサーを2回読み出して結果を確定させるのに、より長い時間が必要になるからだと考えられる。
- メカシャッターであれば、センサーは必要なだけ時間をかけて読み出すことができる。
- しかし、今後どこに向かっていくかは想像がつくだろう。
- センサーが十分に高速になるか、あるいはスタック構造のコストが下がれば、電子シャッターでも同様のDGOのメリットが得られるようになるはずだ。
- 高ダイナミックレンジの電子シャッターが必要だと言っていた人たちは、今ごろフォーラムで「やっぱり欲しいのはメカシャッターでの高ダイナミックレンジだけだ」と言い換えているに違いない。
- そういうものだと我々はフォーラム文化をよく知っているからである。
まとめ
- 将来のカメラで静止画用のキヤノンのDROを実装することを除けば、キヤノンはダイナミックレンジに関して壁にぶつかっているように見えるが、それでも業界全体と比べれば十分に競争力は保っている。
- キヤノンは、特にこの「R6」系のラインアップでは依然として主に表面照射型センサーを使用しているが、競合他社は裏面照射型センサーを採用し、さらにニコン「Z6 III」やソニー「α7 V」に見られるような部分積層型の裏面照射センサーへと移行している。
- 理屈の上では、表面照射型センサーは裏面照射型センサーほど良好な性能を出せないはずである。
- 表面照射型センサーでは、配線やトランジスタスイッチが各画素のフルウェル容量の上限を邪魔するからだ。
- さらにキヤノンは1画素を2つに分割しているため、その2つの電荷井戸を囲む壁の分だけ、理論的には効率がさらに落ちることになる。
- それらすべてを踏まえてなお、キヤノンが十分競争力を保っていると考えると、与えられた条件の中で最大限の成果を引き出しているキヤノンのセンサー研究者やエンジニアには、敬意を払うべきだと思う。
- とはいえ、今回ソニーが手袋を投げつけるかのように極めて優れたダイナミックレンジ性能を提示してきたのも事実だ。
- そして、自分はキヤノンもこれに対抗してさらなる性能向上を図ってくると確信している。
- 競争はさらなるイノベーションを促すものであり、その恩恵は最終的に我々ユーザー全員が受けることになるのだ。
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