要約
一眼レフに全振りする稀有な存在、リコー/ペンタックスの2025年噂を総覧する。6100万画素級「K-1 Mark III」、360新機軸「THETA A1」、GR IV系の派生(x/Monochrome)、そして揺れるフィルムプロジェクトの行方。唯一無二の“硬派”路線はどこへ向かうのか。
Ricoh & Pentax rumors 2025 - Camera rumors in 2025: what cameras are coming, officially and otherwise! - Page 9 | Digital Camera World
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Digital Camera Worldに、リコー&ペンタックスの2025年のカメラの噂の振り返りと2026年に登場する可能性があるカメラの噂が掲載されています。
2025年のリコー&ペンタックスの噂
- 業界でも特にユニークな存在であるブランドだけに、リコー関連の噂、特にペンタックスに関する噂はいつも興味深いものである。
- リコーは、かつて「Pentax Q」ミラーレスシステムに一瞬だけ手を出したものの、ペンタックスブランドではミラーレスへ移行しない方針を強く打ち出しており、その代わりに「最高の一眼レフ」を作ることに集中するとしている。
- キヤノンやニコンが新型一眼レフの開発を終了した今、そのカテゴリーは実質的に“がら空き”状態であり、ペンタックスにとっては貴重なポジションであると言える。
- さらにリコーは、最新の「GR IV」やペンタックスの防水カメラシリーズなど、優れたコンパクトカメラも継続して投入している。
- しかし、最もワクワクさせる計画はアナログ写真復興に関するものだろう。歴史上最高クラスのフィルムカメラの多くがペンタックスの名前を冠しており、21年ぶりの新フィルム機「Pentax 17」ハーフサイズカメラは、その伝統を再び始動させる存在である。
- では、同社は具体的にどのような動きを見せているのか。
- 以下が、最新のリコー&ペンタックス関連の噂である。
「PENTAX K-1 Mark III」
- ペンタックス「K-1 Mark III」に関して公式情報を聞いたのはしばらく前のことであり、現時点で分かっているのは「カメラは確認されており、ベトナムで製造されているらしい」ということだけである。
- しかし、数か月前には“夢物語”に思えたスペックの噂が最近になって再浮上しており、もしこれが真実であれば、このフルサイズフラッグシップは史上最も高度な一眼レフになると考えられている。
- 耳にしている内容をまとめると、
- このカメラは6100万画素 裏面照射型センサー を搭載するとされている。
- これはソニー「α7R V」やライカ「SL3」といったフルサイズミラーレスのトップ機と並ぶ解像度である。
- 加えて、センサーは手ブレ補正機構を備えるとされており、これもミラーレス勢と渡り合うための重要な武器となる(とはいえ、ペンタックスは以前からボディ内手ブレ補正搭載一眼レフを作ってきたわけだが)。
- さらに、改良版「SAFOX 14」AFシステムとGPSに加え、「K-1 Mark III」は4K60p動画記録にも対応すると言われている。
- 高解像度の静止画と動画データは、CFexpress Type Bデュアルスロットによって支えられるという話である。
- 最新の噂では、IBISとGPSを組み合わせ、地球の自転を補正しながら星景を撮影できる名機能「Astrotracer」について言及はないが、この機能はペンタックスならではの唯一無二の特徴であり、これを捨てるとは考えにくい。
- 一眼レフにここまで心を躍らせたのは久しぶりであるが、新しい「K-1」には素直に期待していると言ってよいだろう。
「RICOH THETA A1」
- リコーが初代360カメラ「Theta」を発売してから、すでに10年以上が経過しているが、新モデル「Ricoh Theta A1」のリークが出てきている。
- ネーミングの観点から見ると、これは2019年に発売されたフラッグシップ機「Ricoh Theta Z1」とはアルファベットの両端に位置する(Z1は1インチセンサーの23MPカメラで、7K 360°静止画と4K30p全天球動画に対応し、2022年には内蔵ストレージを51GBに増量したバージョンも登場した)。
- それでは、今回の「A1」はスペック面でも“反対側”に位置するのだろうか。
- 現時点では技術的な詳細は公表されていないものの、「Theta X」の特徴である2.25インチ大型タッチスクリーンは搭載されないという噂がある。
- このことから、「Theta A1」はハイエンドではなくエントリーモデルとして位置づけられる可能性が高い。
- その場合、現行の低価格モデル「Ricoh Theta SC2」がどうなるのかは不透明であるが、「A1」がその後継となるシナリオは十分に考えられる。
「RICOH GR IVx」
- 「GR IV」が「GR III」と同じく、バリエーション展開とスペシャルエディションで広げられていくことは、ほぼ既定路線と言ってよいだろう。
- 実際、「GR IV HDF」の存在が明かされたことで、その方向性はほぼ確実になった。
- そうなると、「Ricoh GR IVx」がラインナップに加わるのも時間の問題である。
- 固定レンズコンパクトカメラの最大の強みは同時に最大の弱点でもある。すなわち「レンズが固定」であるという点だ。
- 「Ricoh GR IIIx」は、この弱点を補うために、ベースモデル「GR III」と同等の中身を保ちながら、焦点距離をより長い40mm相当(18.3mmから40mm相当へ)に変更したモデルであった。
- このアプローチは業界全体に新たなトレンドを生み、「Leica Q3」の40mm版とも言える「Leica Q3 43」がその後に続いた。
- そう考えると、28mm相当レンズを搭載した「Ricoh GR IVx」が登場するのは、かなり安全な読みと言えるだろう。
「RICOH GR IV Monochrome」
- リコーは「GR III」にモノクロ専用モデルを出さなかった(噂によれば、ペンタックス「K-3 Mark III Monochrome」の販売を食ってしまうのを避けたとも言われている)が、今回「Ricoh GR IV Monochrome」がベースモデルの発売後、2025年後半に登場するのではないかという話が出てきている。
- GRユーザーの間でモノクロ専用機への需要が長らく存在していたにもかかわらず、「GR III」シリーズでは5つものバリエーションが出ながら、モノクロモデルは一度も実現しなかった。
- 今回もレンズを換装する「GR IVx」やフィルターを差し替える「GR IV HDF」のような、コスト効率の良いバリエーション展開が中心になる可能性は高い。
- 一方で、まったく別のモノクロ専用センサーを搭載するとなれば話は大きく変わる。だが、それは“またしても金のなる木”になり得る選択肢である。
PENTAX「フィルムカメラプロジェクト」一時停止中
2025年3月、ペンタックスのフィルムカメラ開発は大きな打撃を受けた。
「Pentax 17」(およびその他のペンタックスデジタルカメラ)のリードデザイナーである鈴木“TKO”武氏が引退を発表したのである。
同時期に、あるいはその影響もあってか、ペンタックスは次のような声明を出している。
「私たちは今後のフィルム製品について判断する前に、ユーザーからのフィードバックを集め、実際に会話をし、何を評価し、何が足りないと感じているのかを学ぶ時間が必要である」。
同社はまた、「TKOはPentax Film Projectで重要な役割を果たしたが、彼の退任が今後のフィルムモデルの可能性に影響を与えるわけではない」と強調している。
とはいえ、この2つの出来事の関連を想像してしまうのは自然なことであろう。
いずれにせよ、より安価なコンパクトカメラ(ペンタックス/リコーの伝統からすれば焦点距離違いのバリエーションである可能性が高い)1機種と、クラシックな一眼レフ2機種という、かつて噂されていた計画は、現状では保留状態にあるようだ。
「PENTAX K-3 Mark IV」
- 現時点では「保留(maybe)」枠に入る案件である。
- しかし最近の噂では、ペンタックスが今年中に「興味深い」新一眼レフを投入する準備を進めていると言われている。
- その「興味深い」という言葉が具体的に何を意味するのかは不明だが、「PENTAX K-3 Mark III」自体が、一眼レフの操作感にミラーレス的な革新をミックスした、なかなか“面白い”カメラであったことを考えると、そのDNAが次世代機にも受け継がれるのではないかと推測されている。
- さらに興味深いのは、ペンタックスが2025年1月に「K-3 Mark III」の生産終了を正式に発表した一方で、後継機が期待されている「K-1 Mark II」は依然として現行製品としてリストされている、という点である。
- つまり、ラインナップにぽっかり空いたポジションを、「K-3 Mark IV」という“とても面白い”新機種が埋める可能性は十分にあるということである。
「PENTAX K-3 Mark III Astro」
- 2022年初頭、ペンタックスは天体撮影に特化した「PENTAX K-3 Mark III Astro」の計画を発表している。
- 「Monochrome」版が白黒専用機であったように、「Astro」版は星空撮影専用機となる。
- このモデルはHα(輝線スペクトルの水素アルファ線)に対する感度が通常の10倍になるとされており、星雲撮影と非常に相性が良いはずである。
- 天体撮影の現場では、真の色再現、いわゆるブロードバンドのために、水素アルファフィルターをはじめとする各種フィルターを組み合わせて使うのが一般的である。
- 発表からすでに1年以上が経過しているが、ペンタックスが本気で“天体写真に最適なカメラ”の座を狙うのかどうか、注目されるところである。
「PENTAX K-3 Mark III Gunmetal」
- 2022年1月にアナウンスされたこのモデルは、実質的には「K-3 Mark III」の外観のみを変更したカラーバリエーションであると思われる。
- これは、真っ黒な「PENTAX K-3 Mark III Jet Black」と同様のコンセプトであり、内部仕様は基本的に共通していると見られる。
- 「Gunmetal」バージョンは、2014年に発売された初代「PENTAX K-3」の「Prestige Edition」とほぼ同じ外観で、ガンメタルのグリップと20-40mmレンズがセットになるようだ。
- 続報はないものの、2022年の「Jet Black」、2023年の新センサー版「Monochrome」に続く形で、この新しい外観バリエーションが2024年に登場してもおかしくはない状況であった。
「PENTAX K-3 Mark III Shutter Stroke Change」
- リコーがスペシャルエディション好きであるというのは決して大げさな話ではない。
- このバリアントについて分かっているのは、「より浅いシャッターストロークによって高速連写をしやすくするためのモデルである」という点だけである。
- 高速撮影を意識した仕様であることを踏まえると、最大12fpsの連写速度をさらに引き上げる可能性も考えられる。
- もっとも、これを実現するにはR&Dチームにとってかなりのチャレンジとなるだろう。ニコンはかつて「一眼レフのメカシャッターは12fpsが限界」と発言していたからである。
- とはいえ、ニコン「D6」は14fps、キヤノン「EOS-1D X Mark III」は16fpsに達しており、“一眼レフ最後の砦”であるペンタックスが、かつてのライバル達に追いつく姿を見てみたいという気持ちもある。
「PENTAX K-3 Mark III MF」
- 「K-3 Mark III」の最後のバリアントとして2022年にアナウンスされたのが、この「MF」モデルである。
- MFとはManual Focus(マニュアルフォーカス)の略であり、ここでもリコーの“特別仕様好き”が発揮されている。
- 基本となるカメラデザインは共通で、内部の技術やチューニングを少し変えるだけで新モデルとして成立させてしまうアプローチである。
- 正直に言えば、完全マニュアルフォーカス専用の一眼レフを2024年以降に出すというのは、かなりニッチな試みである。
- しかし、ペンタックスユーザーは“硬派な一眼レフ派”であり、写真趣味人の中でも最もニッチでコアな層である。
- もし誰かがこのコンセプトを成功させるとすれば、それはリコー/ペンタックス以外に無いと言ってよいだろう。
とのこと

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