2026.03.11
要約
CP+2026でパナソニックの津村敏行氏にインタビューし、統合後に加速した開発の成果と2026の展望を聞いた。フルサイズSシリーズ3機種投入とレンズ20本拡充、AI「Magic LUT」、放送・業務機材の強化に加え、「LUMIX S1II」の部分積層CMOSやARRI LogC3、32-bit floatマイク「DMW-DMS1」も焦点である。“コンパクトシネマ”、BS1Hの位置づけ、S1H後継、S9のEVF、マイクロフォーサーズとコンパクト市場まで整理する。
Panasonic LUMIX Interview – S1H Successor, Cinema Cameras, MFT Commitment, and More | CineD
CineDに、CP+2026でのパナソニック執行役員副社長/イメージングソリューション事業部長 津村氏へのインタビューが掲載されています。
- CP+ 2026(横浜)で、パナソニックの執行役員副社長でイメージングソリューション事業部長の津村敏行氏にインタビューを行い、2025年の成果、コンパクトシネマへの考え方、「BS1H」の今後、マイクロフォーサーズ、そして2026年に「LUMIX」ファンが期待できることまで幅広く聞いた。
2024年の統合が加速させた開発スピード
- 2024年4月に民生AVと業務用AV部門を統合して以降、パナソニックは開発を加速させたという。
- 2025年はフルサイズのSシリーズを3機種(「LUMIX S1RII」「LUMIX S1II」「LUMIX S1IIE」)投入し、交換レンズも20本まで拡充した。
- その中には待望の「100-500mm」超望遠ズームや「24-60mm F2.8」標準ズームが含まれる。
- さらに「LUMIX Lab」アプリでは、参照写真をアップロードするとAIが個人向けの色調を自動生成する「Magic LUT」機能も開発した。
民生だけでなく放送・業務も一体で前進
- 統合の成果は民生カメラに留まらず、業務分野でも顕在化したという。
- 大判センサーの業務用ボックスカメラ「AW-UB50」「AW-UB10」、業務用カムコーダー「AG-CX370」「CX20」、そしてAF搭載の“業界初”4Kスタジオカメラ「AK-UCX100」を強化した。
- AIと独自の顔認識を使う「Media Production Suite」も提案し、高精度の人物検出、追尾、オートフレーミングを狙う。
- 津村氏は、民生と業務の両部門が顧客ニーズに応え、成果が出始めた年が2025年だったと述べた。
「LUMIX S1II」の技術的な肝
- 「LUMIX S1II」について津村氏は、写真と動画を1台で撮るハイブリッド層を主対象にしつつ、初代S1の色表現、堅牢性、信頼性を継承し、市場トレンドに合わせて進化させたと説明した。
- 写真では部分積層CMOSによる高速連写、広いダイナミックレンジ、描写性能の向上を強調した。
- 動画では内部RAW収録や4K 120pが高評価を得ているという。
- さらに「LUMIX Lab」によるリアルタイムLUTの簡便化、「LUMIX Flow」シナリオ制作アプリ、そしてARRIのワークフローにつながるARRI LogC3実装もポイントとした。
- 検証ではDR Boost有効時の5.8K ProRes RAWで、露出ラチチュードがARRI「Alexa Mini LF」に匹敵したとされ、民生フルサイズ機として注目に値すると位置づけた。
評価とシェアのギャップへの見方
- 評価や熱心なユーザーがいる一方で、市場シェアは競合より小さいという問いに、津村氏は“位置”より“軌道”で語った。
- 「LUMIX」は25周年で、ミラーレス参入は18年前、フルサイズミラーレス参入は6年前に過ぎないという。
- 動画と写真を両方撮るハイブリッド層でファンは急増しており、シェアも上昇している。
- 成長の過渡期にあり、差は徐々に縮まるという認識である。
2026年の見どころ:新マイクと“新提案”
- CP+ 2026で発表されたデジタルショットガンマイク「DMW-DMS1」に触れた。
- 対応するS/Gシリーズにホットシュー直結し、ケーブルレスで高品位収録を狙う。
- 「LUMIX S1II」「LUMIX S1IIE」「LUMIX S1RII」では32-bit float収録に対応し、S1系やGH系でも接続時にfloat収録が可能としている。
- 価格は399.99ドルで、2026年3月下旬出荷予定とされた。
- 津村氏はこれ以外にも、年間を通じて“ワクワクする製品”と新しいワークフロー提案を多数準備していると示唆した。
“コンパクトシネマ”と「BS1H」の位置づけ
- ソニー「FX3」、キヤノン「EOS C50」、ニコン「ZR」などに代表される小型の動画特化“シネマ”系に、「LUMIX」の明確な対抗軸がない点を質問した。
- 津村氏は「GH7」「S1H」「S1II」などがすでにシネマ用途で広く使われ、LogC3も活用されていると述べた上で、統合によりシネマ機はさらに進化できるようになったとし、この領域を強化していくと語った。
- ただし具体的な新製品の明言は避けた。
- 「BS1H」については“消えたのではなく進化した”という表現を用い、統合後にLUMIX BOXの概念を発展させ、「AW-UB50」「AW-UB10」を投入したと説明した。
- 共通IP制御プロトコルで遠隔カメラシステムと統合でき、シネマ的表現を保ちながらIP制御などで進化したという。
「S1H」後継と「LUMIX S9」のEVF議論
- 「LUMIX S1H」後継については要望を認めつつも、将来ラインアップにはコメントできないとした。
- 一方で顧客の声を真摯に聞き、動画制作者の期待にどう応えるかを慎重に検討していると述べた。
- 「LUMIX S9」はLCD中心の撮影スタイルを想定した小型軽量・スタイリッシュ設計で、EVF搭載への要望は強いと認めた。
- 小型化とEVFの両立を含め、より多くの顧客の期待に応えるバランスを検討しているという。
マイクロフォーサーズとコンパクト市場
- マイクロフォーサーズが後回しになったのでは、という問いには否定し、「GH7」「G9II」「G97」「G100D」などを挙げた。
- 「100-400mm LEICA」や「35-100mm F2.8 LEICA」などレンズの動きも示し、Lマウントとマイクロフォーサーズの二本立ては強みだとした。
- 小型システムが生む機動性とスピードは魅力であり、独自の魅力を際立たせる提案を続けるという。
- ブリッジ機「FZ」系については、コンパクト市場の復調を踏まえて言及した。
- CIPAによれば2025年のコンパクト出荷金額は前年比149%に増え、FZ85は堅調で、30倍光学ズームの「TZ99」も好評だったという。
- 具体的な新製品は語れないが、スマホでは到達できない高品位な静止画・動画でコンパクト市場に価値を提供し続けると述べた。
放送機材と2026年の市場観
- 放送向けにはB4マウント対応の4Kボックス型多目的カメラ「AK-UBX100」を紹介し、スタジオ、スポーツ中継、ライブイベント用途を想定する。
- 「AK-UBX100」は2026年度第1四半期にファームウェアでAF対応予定とされた。
- 最後に津村氏は、市場全体を楽観的に見ていると述べた。
- CIPAの2025年出荷は前年比107%で5年連続の拡大であり、新規ユーザー向け入門機やコンパクトの需要が牽引している。
- パナソニックは新規ユーザー向け提案を加速しつつ、プロシューマー向けシネマ機の伸び、スタジオ自動化やソリューションを軸にした業務AVの安定成長も見据え、多数の提案で業界の活性化に貢献したいと締めた。
とのこと
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